お客様に満足していただき、長く付き合う。それは、どんな企業にとってもひとつの夢だと言えるでしょう。しかし、それを実現するためには、カスタマーサービスに対する期待値と実際の顧客体験のギャップを埋める必要があります。顧客の期待は高まる一方で、このパンデミックの中で、そのハードルは上がり続けています。今日の顧客は、一人ひとりに合わせた体験を求めており、そのために140%多く払ってもかまわないとさえ考えています1。それに対し、パーソナライゼーションを最優先事項として考えている小売業者はわずか53%にすぎません2。
パーソナライゼーションの広がりによって、B2BとB2Cのバイヤーズジャーニーの境界線は曖昧になっています。B2Bの顧客は、業務上の購買活動においても、よりシームレスな体験を求めるようになりました。そのため、パーソナライゼーションは、電子メールの件名に顧客の名前をいれれば終わり、というレベルよりもはるかに進んでいます。しかし、多くのブランドは、パーソナライズされた体験を提供する上で商品データの持つ重要性を見落としています。商品データは、B2C小売のコンバージョンを促進したり、B2Bの工業製品の体験を豊かにしたりする力を秘めているのです。
McKinsey & Companyの調査によると、今や顧客はパーソナライゼーションをエンゲージメントのデフォルト・スタンダードと見なしています3。B2Bの顧客体験の専門家を対象に、どのようなアクションや投資が顧客に最も影響を与えるかを尋ねたところ、3分の2近く(62%)が、個々のニーズ、課題、将来の方向性など、個々の顧客の特性を理解することに重点を置いた投資を選択しました4。これは、パーソナライズされた顧客体験をまだ導入していない企業にはプレッシャーのかかる結果ですが、それを正しく理解した企業にはチャンスが広がっていると言えます。
ガートナー社は、パーソナライズされたメッセージングによって顧客のサポートに注力する企業は、そうでない企業に比べて商業的成果への影響が16%増加すると見ています5。しかし、多くのチームは、詳細な説明、属性情報、デジタルアセットが完璧に揃った商品を準備するという要求に応えるのに苦労しています。成果がでていないEコマースブランドは、商品ページにアクセスしたトラフィックの0.10%しかコンバージョンできていません6。望ましいのは、特集商品、UX、商品説明、デジタルアセット、ソーシャルプルーフ、CTAなど、商品ページのすべての要素が訪問者に優れたショッピング体験を提供し、購買を促すものとなることです。
商品ページでは、パーソナライゼーションが重要な鍵を握っています。一般的なマーケティングファネルでは、商品ページを訪れる消費者は、大抵意思決定の最終段階にあります。そのため、商品ページは最も価値のあるコンバージョンツールと言えます。81%の消費者がオンラインで調べてから購入に進む中で、商品ページにたどり着いてくれた消費者に、彼らが求めているものを確実に提供できるようにしておく必要があります7。
顧客が実際に商品を手に取って試すことができる従来の小売店とは異なり、Eコマースにはその選択肢はありません。そのため、消費者は購入の意思決定をする際に、商品説明をとても頼りにしています。正確な商品コンテンツを求めており、間違った商品情報を見つけてしまったら、多くはそのウェブサイトを信用しなくなります8。オンラインショッピングをする人は、購入前に可能な限り多くの情報を必要としており、価格、商品説明、評価、利用可能なサポートオプション、レビューに細心の注意を払っているのです。
消費者がせっかく商品ページを訪れてくれたのなら、説明文からレビュー、写真にいたるまで、適切なレベルの情報を提供してコンバージョンのチャンスを最大化しましょう。例えば、リアルタイムのユーザーデータを活用すれば、カテゴリページ、ショッピングカート インセンティブ、スマートなおすすめ商品などを、購入者に合わせて自動生成することができます。そうすれば、それぞれの商品ページはお客様の興味や購買意欲を考慮した、ひとりひとりに合わせた提案になるのです。
よくできた商品ページの意義をよりよく理解するために、例を挙げて考えてみましょう。あなたは新しいコートを探しているとします。冬用コートをネットで探していると、2つのEコマースストアに辿りつきました。
最初のサイトには、コートの画像は1枚しかなく、しかもぼやけています。説明もなく、商品のバリエーションも記載されていません。つまり、希望していた色やサイズがあるかどうかわからないわけです。さらに、レビューも見当たりません。
2つ目のサイトには、コートのさまざまな商品画像が高解像度で表示され、さらにはデモ動画もあります。色やサイズなど、すべてのバリエーションが詳細に紹介されています。また、購入されたお客様のレビューも多数掲載されており、いずれも満足度の高いものばかりです。
あなたなら、どちらのサイトからコートを買いますか?
商品ページのコンバージョン率が高いのは偶然ではなく、コンテンツからデザインまで、商品ページの各要素を微調整した結果なのです。簡単に商品ページのベストプラクティスをご紹介します。
効果的な商品ページの要素がわかったところで、次のステップは、常に更新される商品コンテンツを、正確でパーソナライズされた状態で矛盾なく配信するプロセスを合理化することです。どうやって?そのキーワードはコンテクスチュアリゼーション(文脈化)です。お客様が何を読み、何を見て、何をするかだけでなく、いつ、どこで、なぜそれをするのかを考慮し、お客様の文脈に合わせた魅力的なデジタル体験を提供することです。
あなたは、ソーシャルメディアを見て洋服や家具を買ったことはありますか?オンラインで注文し、店舗で受け取るクリック&コレクト機能を利用したことは?Alexaのアプリで商品の決済をしたことはありますか?すでに多くのブランドが、消費者の文脈を活用して商品販売を行うコンテクスチュアル・コマースを採用しています。
顧客とのエンゲージメント、ライフサイクルのステージ、サービス、他のチャネルとのインタラクションなどのコンテキスト(文脈)は、全体的な顧客体験の基礎を形成します。パーソナライゼーションだけでなく、コンテクスチュアライゼーションにも注力することで、有意義な顧客エンゲージメントを実現するための適切な環境を構築することができます。このプロセスは、リアルタイムの文脈データの収集、新しい顧客インサイトによるプロファイルの充実、魅力的なジャーニーの作成、顧客の反応の評価から始まり、適切なメッセージが適切な顧客に届くよう、適宜プロセスの最適化を行います。
このプロセスを容易にするために、企業は自社に合ったテクノロジーエコシステムを活用する必要があります。今回のような場合には、プロダクト・エクスペリエンス管理(PXM)システムが役立ちます。PXMシステムは、カスタマージャーニー全体にわたって、文脈に応じたパーソナライズされた商品情報を提供します。
ContentservのPXMは、プロダクトエクスペリエンス(商品体験)を核に据えたコンセプトで、魅力的な顧客体験の創造を効率化します。商品情報とリッチメディアを統合し、コンテクスチャライゼーションと組み合わせて、カスタマージャーニーに沿ったすべてのタッチポイントで関連する商品コンテンツを用いて体験をパーソナライズします。従来のPIMシステムを、コンテンツマーケティングのROIを向上させ、商品ページでのアップセルやクロスセルの機会を増やし、感情的なつながりを引き出すパーソナライズされた商品体験エンジンに変身させることができます。
オンラインでの売上が指数関数的に伸び続けていることに、特別な驚きはありません。2021年、小売のEコマース売上高は世界で約4兆9,000億米ドルにのぼりました13。さらにガートナーの調査では、2025年までにはB2Bにおけるサプライヤーとバイヤー間の営業のやりとりのうち80%がデジタルチャネルで発生すると予測されています14。 多くの企業がこのEコマースの成長の恩恵を享受している一方で、新たな課題も生まれています。それは、買い手のショッピング・ジャーニーの各段階において、パーソナライズされた顧客体験をどのように作り出し、管理するかということです。
ビジネス規模の拡大は簡単なことではありませんが、すべてのEコマース企業が取り組むべき課題です。規模を拡大する際に注意しなければならないのは、商品情報が不正確になったり、古くなったり、複数の場所に保存されたりする可能性があることです。カタログ、SKUS、商品番号、リファレンス、デジタルアセット、翻訳、ローカライズ、カスタム属性、ドキュメントなど、時間が経つにつれて管理するのが面倒になる可能性があります。適切なデータガバナンスのアプローチがなければ、ワークフローは遅くなり、矛盾が生じ、複数の価格表、地域、言語、通貨、キャンペーンを管理しようとすると、ほとんど不可能になります。
そのため、これらのプロセスを簡素化できるツールを探すことが重要です。例えば、商品情報をうまく管理し、世界中の人々に届けるには、関連データをリアルタイムで提供する強力な商品データ管理プラットフォームが必要です。Contentservなら、すべての顧客にパーソナライズされた体験を提供するためのプロセス全体を簡素化することができます。オールインワンのProduct Experience Cloudは、商品情報を大規模に管理し、商品を迅速に市場に投入し、すべてのタッチポイントでパーソナライズされた商品体験を提供することを可能にします。商品情報管理(PIM)とマスターデータ管理(MDM)を活用し、メーカー、ブランド、専門小売業者が、使いやすい1つのクラウドプラットフォームで商品コンテンツを簡単に管理できるようにします。
適切なソリューションを利用することで、企業はリーチを拡大しながら、コンテキストに沿ったパーソナライズされた顧客体験を提供することができます。ミズノ社の成功事例は、Product Experience Cloudが、商品の仕様、データ、マーケティングコンテンツを一元的に管理するのに役立つことを示す一例です。スポーツ用品やアパレルを製造・販売する日本の大手ブランドは、消費者に合わせた各チャネルでのコンテンツ配信を大幅に効率化しました。また、世界有数のスポーツ用品小売業者であるIntersport社は、「信頼できる唯一の情報源」を活用して、関連会社のEコマースおよび配信ニーズに対応し、正確で一貫性のあるパーソナライズされたコンテンツを大規模に提供しています。
今日の顧客が、パーソナライズされた顧客体験を重視していることは明らかです。そうした体験に対してより多くのお金を払うことを厭わないだけでなく、結果として、忠実な顧客であり続ける可能性が高いのです。商品ページを顧客のニーズに合わせてカスタマイズし、文脈に応じてパーソナライズされた顧客体験を提供する、それを大規模かつ効果的に行うことで、顧客との絆を深め、長期にわたってビジネスに大きな価値をもたらすことができます。