2021年11月、Amazonマーケットプレイスは21年目を迎えました。当時の新事業の早期成功を告げる2001年3月のプレスリリースでは、amazon.comのことを「リーディング・オンライン・リテーラー」と控えめに表現しており、これはEコマース市場がいかに変化したかを物語っています1 。
最近では、世界的なEコマースの巨人であるAmazonが、小売業者としてではなく、マーケットプレイスとして言及されているのを目にすることも少なくありません。
これは、特に過去10年間におけるマーケットプレイス分野の驚異的な成長を反映しています。Digital Commerce 360の分析によると、2020年、世界の主要なオンラインマーケットプレイスの売上は2兆6700億ドルに達しており、これは世界のウェブ売上の62%に相当します2。
マーケットプレイスは、この数年で小売業者や個人販売業者だけでなく、ブランドやメーカー、さまざまなB2Bセクターなど、あらゆる企業にとって不可欠な存在となりました。つまり、あらゆる種類の企業がマーケットプレイスで存在感を示す必要がでてきているのです。なぜなら、顧客はそこにいるからです。そして、ほぼ間違いなく、そことは毎月52億人の消費者が訪れるAmazonのことです3。
特に製造業のブランドやメーカーにとって、これは決して悪いニュースではありません。ブランドが卸売業者に販売し、通信販売でいくつかの商品を提供していた時代はとうに過ぎ去りました。
今日のブランドは、マルチチャネル・ハイブリッド方式で製品を市場に送り出しています。卸売業者経由、お気に入りの小売業者経由、消費者への直接販売(D2C)、マーケットプレイス経由などでの販売が一般的です。さらには、ライブストリーミングやショッパブルコンテンツなど、より新しい形態のeコマースへの参加も含まれるかもしれません。
マーケットプレイスは、このような選択肢の中で、確かな収入源、一定量の顧客情報へのアクセス、そして、例えば余剰在庫の整理など特定の方法での使い方ができるチャネルを提供します。
Amazonに特化して言うと、その規模の大きさゆえに大きなチャンスがあります。2019年には、米国におけるオンライン小売売上高の52.4%、世界でのオンライン小売売上高の13.7%を占めています4 。2020年の調査によれば、オンライン消費者の63%が、商品検索にAmazonを利用しています5。
しかし、多少の注意も必要です。ブランドが完全にコントロールできるD2Cに比べ、AmazonマーケットプレイスはAmazonが仲介しており、在庫は他社の商品と一緒に表示されることもあります。競合他社が同じ商品をより積極的に値引きすることもあるため、価格競争に陥る危険性があります。また、得られる消費者データもD2Cに比べればはるかに少なくなります。
つまり、ブランドは、Amazonや他のマーケットプレイスでの販売にどうアプローチするのが最善か、全体的な戦略の一部として、慎重に考えることが重要です。
この問いを考える一つの方法は、ブランドのアイテムがどのように掲載されるかを考えることです。3つの選択肢を簡単に見てみましょう。
多くのブランドがAmazonセラー6になることを選択しています。これは、Amazonマーケットプレースで販売するための簡便な方法です。
ブランドは、Amazon セラーセントラルから「ワンストップショップ」にアクセスし、「販売アカウント、商品情報の追加、在庫更新、支払い管理、Amazonビジネスのナビゲートに役立つコンテンツの検索」を管理することができます。ブランドが商品を販売する際には、通常、販売価格に対するパーセンテージで計算される紹介料などの手数料が発生します。
これは、Amazonと一定の距離を置いたビジネス手法と言えます。他には、より密接な関係を築くことで、Amazonがその商品をより目立つようにしてくれるというメリットを享受する方法があります。Amazon ベンダーセントラルを通じ、招待されたブランドはAmazonに直接販売します。
Our Brands(「AmazonのプライベートブランドとAmazonのみで販売される厳選されたブランドのコレクション」)やAmazonアクセラレーター(「メーカーがAmazonのみでブランドと革新的な製品を立ち上げることを可能にする」)に登録するブランドもあります。
このような密接な関係には、トレードオフがあることを認識しておくことも重要です。例えば、Our Brandsプログラムでは、製造業のブランドは使用する技術をAmazonの監視下に置くことになる可能性があります。Amazonアクセラレーターに参加すれば、Amazonが新しいブランドと製品に関する独占的な権利を得ることになります。