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プロダクトの価値を伝えるコンテンツ改革が顧客体験を高め、ビジネスに変革をもたらす- Product Experience Summit 2022 開催レポート

作成者: Contentserv|2022/11/23 21:52:54

想定の困難な事態が次々に発生し、資源価格高騰やサプライチェーンの混乱を招いています。このように変化が激しく先行き不透明な時代であるからこそ、自らのプロダクトの価値を顧客に伝えるコンテンツの重要性はこれまで以上に高まっているといえます。

Contentserv主催の年次カンファレンス「Product Experience Summit Tokyo 」では、マーケティング・ブランディング強化、デジタル変革を支援するベストプラクティスや最先端な情報を発信しています。今年で4回目の開催となる Product Experience Summit Tokyo 2022では、多くの登録者を迎え、商品情報管理(PIM)とデジタルアセット管理(DAM)が日本企業にも根付きつつある今、ビジネスの最前線で活躍するプレイヤーが一堂に会し、コンテンツ改革を軸としたデジタル変革にまつわる話題の数々を披露しました。

「Elevate your digital growth - デジタルが導く成長、今こそさらなる高みへ」をテーマに12セッションを通じて、デジタルが導く成長の次のステージについて様々なキーワードが提起されました。本イベントの内容を「困難な時代だからこそ求められるコンテンツケイパビリティ」、「分散するデータの一元管理と、その先にある商品体験価値向上」、「Contentservの新機能で情報の扱いがさらにアップデートされる」の3つのキーワードを中心に紹介します。

困難な時代だからこそ求められるコンテンツケイパビリティ

Product Experience Summit Tokyo 2022は、株式会社Contentserv 代表取締役 渡辺 信明のオープニング講演「Web3時代のプロダクトエクスペリエンス」で幕を開け、昨今のマクロ環境におけるコンテンツ関連の様々な問題と、コンテンツケイパビリティを磨き上げることで困難な時代を乗り越えていく可能性について考察を繰り広げました。
 
株式会社Contentserv 代表取締役 渡辺 信明
 

本イベントが開催された10月20日、ドル円相場は一時150円台に乗せ、32年ぶりのドル高・円安水準に突入しました。その後は一服感を見せ、11月中旬には140円を挟む展開となっているものの、円安基調は根本的に変わっていません。加えて、ウクライナ情勢の影響でサプライチェーンの混乱は継続し、資源高が進行し、人手不足も依然深刻なままです。こうした状況を受け、日本でも物価高が進んでいます。 

現在起きている機会損失について渡辺は3つのキーワードを挙げ、次のように語りました。

  • 価格転化 -> 価格 vs 価値現在、仕入価格はどんどん上がっているにもかかわらず、なかなか販売価格に転嫁できない状況が続いています。日本では仕入価格の高さを販売価格に転嫁できないため、バリューチェーンの川上から川下へ進むにつれて利益率が低下し企業業績が圧迫されています。加えて、いわゆる“失われた20年”で培われたデフレマインドセットがあるため、企業としても値上げに躊躇しています。
  • 消費者余剰 -> 機能性 vs 文脈性顧客にとってのお得感といったものですが、お得感を高める仕組みが値下げしかなく、しかし値下げはできないという状況に陥っています。モノのプロダクトは消費者余剰=お得感が大きくないため、需要価格と販売価格がほぼ同じになっており、消費者余剰をどう高めていくか、つまり顧客が買いたいと考える価格を上げていく取り組みが重要になるとし、その実現は機能性の訴求では難しく、コンテンツによる文脈性すなわちストーリーが重要になってきます。
  • コンテンツ在庫 ->モノの流通 vs コンテンツの流通 モノはあっても顧客にとって必要な情報が不足しているため、購入できない状況が発生しています。モノはサプライチェーンマネジメントがすでに出来上がっているものの、コンテンツに関してはバリューチェーンやサプライチェーンという意識がないと指摘。商品が流通する際は必ずプロダクトコンテンツも流通するので、それをいかに全体最適化していくかという発想が求められます。

まとめとして渡辺は、「いま日本企業が取り戻すべき力はプライシングパワーです。どうすれば値上げできるか、そのためには商品価値を顧客にどう伝え、理解してもらうかが非常に重要な論点になります」として、次の3点を強調し、「これからの難しい時代に事業成長を遂げていくには、まさにコンテンツケイパビリティが問われます」と力説しました。

  • 価値の伝え方から得られるものであること
  • 顧客のお得感は機能性より文脈性から生まれること
  • 顧客はもはやプロダクトをモノとしてだけでなく、バンドルされたコンテンツも含めて購入しているため、提供側にもそのマインドセットが必要になること 

さらに「プロセスエコノミー」というキーワードも挙げ、企業のR&Dやマーチャンダイジング、マーケティングに顧客の声がより強く反映され、顧客と一緒になって商品を作っていくなど、コラボレーションの形が一気に変わっていくという未来像を示しました。

そして「そこに対してPIMがどう貢献するか、それを考える時代がPIM 3です。すなわち、プロダクトのみならずコンテンツのパーソナライゼーションも一段と進み、メタバース空間を含めすべてがデジタルでやり取りされる時代です。現在は社内のマーチャンダイザーやマーケター、セールス担当者がContentservを使い、商品情報をリッチにしています。これからはバリューチェーンの川上、川下と共に商品情報をリッチにしていく、さらにその先で消費者やBtoBの顧客企業もPIMに相乗りし、プロダクトエクスペリエンスを一緒になって構築する時代になっていくのではないか。そういったプロダクトのコンテンツサプライチェーンの構築を支援するのが、ContentservとContentservのパートナーエコシステムだと思っています」

渡辺はContentservとパートナーエコシステムのミッションを語りました。 

分散するデータの一元管理と、その先にある商品体験価値向上

基調講演では、資生堂の神永 麻以子氏による「CXのサクセスを導くITプラットフォーム改革」、リコーの西田明広氏による「リコーの取り組むグローバル製品情報管理システム改革について」という2本のプログラムが行われました。

株式会社資生堂 グローバルIT戦略部 戦略GM 神永 麻以子氏

創業以来、150年に渡って「ビューティー」という価値を提供し続けてきた資生堂。資生堂では、コロナの影響を受けて、EC比率を上げる、顧客エンゲージメントを高める、最先端なデジタルテクノロジーを活用するといったDX戦略を加速させています

神永氏は、顕在化してきた課題について、システムごとにデータ連携」、「バッチ基準のデータ連携」、「レガシーシステム運用コストの高止まり」の3つを挙げ、データの流れ全体を標準化し、プロジェクト横断的なガバナンスモデルを導入し、構造改革やプロセス、システムの標準化をグローバルレベルで実施した」と語りました。

ブランドが素晴らしい顧客体験を提供し続けるために、変化の中で求められる、これまでの「ブランドプロモーションと店頭の集客力」、「店頭で完結するブランド・購買体験」、「販売訴求とロイヤルティプログラム」をいかにデジタルを活用してお客様一人ひとりにあったパーソナルなコミュニケーションを実現していくかが重要と神永氏が指摘。

さらに、一人ひとりの「美」に寄りそう、資生堂の新会員サービス「Beauty Key」について紹介し、神永氏は「資生堂として様々な”美”の世界観を楽しむ環境という価値を提供していきたいと思っています。お客様に製品をどう楽しんでいただくかというCXの世界を作るには、システムの裏側の世界も非常に重要になってきています。今こそこれをシームレスに作らなければ、加速する競争に付いていけなくなると考えています」と語り、デジタルを牽引するシステム改革の重要性を強調しました。

※資生堂神永 麻以子氏の講演はこちらにてご視聴いただけます。

株式会社リコー デジタル戦略部 コーポレートIT統括センター グローバル改革推進室
ソリューショングループ アソシエイトスペシャリスト 西田 明宏氏

西田氏の講演ではリコーがContentservを採用して取り組む製品情報管理システムの構築について紹介されました。“EMPOWERING DIGITAL WORKSPACE”という提供価値を実現すべく、グローバルでオフィスソリューション・プリンティングソリューションをはじめとする製品の販売を行うリコーは、これらの製品情報をグローバルで共有するシステムをレガシーシステムから再構築しました。

製品情報の管理について、西田氏は、最大な課題は「新製品立上げの時、本社から提供される新製品情報を海外各地域の担当者が加工・修正して、システムに投入するなど、拠点ごとの異なるプロセスと二重作業によるマーケティング担当者の業務におけるデータの加工・修正・システム投入作業の割合が高く、生産性とマーケティング担当者のモチベーションの低下に繋がっていた」と語りました。

これらの状況を受けて、リコー本社マスターデータ管理部署主導でRicoh Global PIMを構築することを決定し、Global PIM製品の選定にあたり、ITアーキテクチャー、ビジネスアーキテクチャー、アプリケーションアーキテクチャー、データアーキテクチャー、テクノロジーアーキテクチャーといったエンタープライズアーキテクチャーに基づくアプリケーション選定プロセスを採用しました。

西田氏は、「RFPの結果、機能の豊富さとコスト面でContentservに決定。8ヶ月という短期間の構築で稼働させることができ、現在、海外極販社のシステムとの連携、現行販売製品情報のRicoh-PIMへのデータ移行に向けてPhase 2を実施ています」と、コロナ禍の中でのフルリモートのプロジェクト推進について、​Contentserv製品の柔軟性や構築を支援するエクサの取り組みを高く評価し、Contentservに対して、設計思想の情報提供、ユーザー会の組織化における期待を語りました。

※リコーの西田氏のセッションはこちらよりご視聴いただけます。

写真 (右)株式会社サンドラッグ 執行役員 EC事業長 田丸 知加氏

日本オムニチャネル協会のフェローとして業界全体のオムニチャネル化を推進する田丸氏は、「商品情報管理を起点としたリテールDXとは」と題して講演しました。

田丸氏は、日本の小売業における商品データ管理の課題について「日本の小売業界には経験や事例も少ないため、今だにPIMという概念がなく、小売ごとにバラバラなフォーマットを使っています。リアル店舗がメインであるため、商品情報の登録というところに優先度がつかないのが課題。リテールDXを実現するためには、PIMの仕組みを取り入れ、取引先を教育し、リアルのフローがメインではなく、ネットメイン、ECメインという意識改革をすることが重要だと考えています」と、デジタルがメインといった意識改革の重要性を強調しています。

※本セッションは、こちらよりご視聴いただけます。

 

また、ユーザー企業のBest Seller India CIOのRanjan Sharma氏とブランド担当のRajnit Singh Bali氏は、Contentserv活用について「データ収集・管理における時間とチームのエネルギーを節約できたことで、以前はできなかったクリエーティブなどの他の業務に時間を割けるようになりました」と語りました。

さらに、「データを取り込むための様々なチャネルやソース、データを戻すための様々なチャネルを追加したいと考えています。パートナーが独自のデータセットを追加できるようにするのです。なぜなら、現段階で、私たちが取得するデータや情報のセットを設定していても、パートナーによっては独自のニュアンスがあって、独自の情報を追加したいと思ったり、このデータを別の形や形式で活用したいと考えるかもしれないからです」とパートナーエコシステム全体での活用について期待を語りました。

他にも、Wovn Technologiesの北野 光平氏より、グローバルビジネスにおける多言語Webサイト構築・運用のコツについて、REVISIOの河村 嘉樹氏より、デバイスとしてのテレビ活用におけるコンテンツとクリエイティブの関係について紹介しました。Contentservのパートナー各社からは、電通デジタルの船井 弘樹氏、DNPの田中 学氏、エクサの色川 達也氏、ジェネロの竹内 ⼤志氏と⼭⼝ 優美菜氏が、メーカーやブランド企業は、ContentservPIM/DAMテクノロジーをどのように活用し、Web CMSECシステムなどのフロントエンドシステムと連携することで、BtoBBtoCを問わず、CX向上、営業・マーケティングDXを実現しているかについてのインサイトを紹介しました。