2023年10月13日に開催された「Product Experience Summit Tokyo 2023」。今年は、「Unlock the Power of Product Content - AI時代のカスタマーエクスペリエンス」をテーマに、7つのセッションを通じて、顧客体験の向上においてビジネス変革を促進する鍵となるキーワードが提案されました。
特に、顧客価値起点のマーケティング変革やPIMの役割が焦点となりました。AIが人の活動を支援する時代において、データがAIマシンリーダブルであることの重要性も強調され、ソリューション提供者と利用者、構築する側が協力して顧客に価値を提供することが不可欠であるとのメッセージが伝えられました。
ここでは、各セッションの印象的な「メッセージ」を紹介します。
コンテンツ・サプライチェーンの構築を
Contentservと共に!
株式会社Contentserv 代表取締役社長 渡辺 信明
オープニングでは、代表の渡辺が「これまで」の6年間の振り返りとビジネスを支えるお客様やパートナーへの感謝、今年の注目ポイント、そしてContentservがアジアのNo.1 PXMベンダーを目指す次なるマイルストーンについて語りました。具体的には、大阪およびシンガポールに支店を開設し、フランスのShoppingfeed社を買収してフロントエンドチャネルへのコンテンツ提供機能を強化し、AIの活用など、Contentservが今後もコンテンツサプライチェーン全体を構築する基盤として進化していく展望をお伝えしました。
※オープニング動画はこちら
顧客価値起点のマーケティング変革に
カルチャー、プロセス、システムの3つを整えることが必要
パナソニック コネクト株式会社 デザイン&マーケティング本部
デジタルカスタマーエクスペリエンス統括部 統括部長 関口 昭如氏
基調講演では、パナソニック コネクトの関口 昭如氏が、「現場から社会を動かし未来をつなぐ」をスローガンに掲げ、B2Bソリューション&サービスを提供するグローバル企業パナソニック コネクトが推進する、顧客価値にフォーカスした「顧客起点マーケティング」や、プロジェクトの一つである「グローバルPIMの構築による顧客接点の最適化」について講演しました。
関口氏は、「顧客理解から設計製造、プロモーションやセールス、契約購入後のトータルサポートを通してニーズに応えている」とし、同社のお客様が「価値」を感じる理想的な状態についてどのような仮説検証を実施しているのか、具体的に述べました。そして、カスタマーエクスペリエンスを向上させるには、システムだけが整っても不十分であり、組織文化や全体のプロセスの見直しも必要で、「カルチャー、プロセス、システム」の3点をすべて整える必要があると強調しました。
AI活用には「AIマシンリーダブルな」データが不可欠
また、関口氏は、「カスタマーエクスペリエンスを向上させる際、顧客データだけでなく、製品データの管理も重要です。製品データの管理において、正確性、検索性、多言語対応など、お客様が情報を簡単に取得できるヒューマンリーダブルに加えて、AIデータに読み込みやすく、検索インデックスが容易なAIリーダブルにも重点を置いています。これにより、さまざまなデータからインサイトを得て、お客様の課題に合致したソリューションを提供し、満足度の高いトータルなカスタマーエクスペリエンスを目指しています。それを支えるのがCRMやPIM/DAMが基盤となる当社のCXデータプラットフォームです。」とAIマシンリーダブルなデータの重要性について強調しました。
※関口 昭如氏講演「顧客価値起点のB2Bマーケティング - パナソニック コネクトのチャレンジ」はこちら
Cloud Marketingへの投資がCrowded Marketingへ
- AI活用、データ整備、業務の見直しが求められている
株式会社電通デジタル アカウントディベロップメント事業部 事業部長 船井 宏樹氏
パナソニック コネクト株式会社 デジタルカスタマーエクスペリエンス統括部 統括部長 関口 昭如氏
電通デジタルの船井氏は、「顧客体験の向上を目指す企業は、クラウド技術を活用した"Cloud" Marketingを推進しています。しかし、顧客体験に直結するフロントエンドシステムへの投資が集中し、データやツールが増加し、社内のオペレーションが複雑化・肥大化する「混雑した」マーケティング(Crowded Marketing)という状況が発生しています。こういった課題の解決には、AIを活用して人の活動をサポートし、データの整備と業務の見直しが求められています。」とデータ整備の重要性について強調。
船井氏は、パナソニック コネクトの関口氏をお迎えし、電通デジタルとContentservが支援して進める同社のグローバルPIMプロジェクトについて伺いました。パナソニック コネクトは、デジタルカスタマーエクスペリエンス(DCX)ビジョンの製品データ基盤としてContentservを活用したグローバルPIMを構築しています。PIM導入に向けての社内稟議から国内外の様々な部門の多数のステークホルダーが関わるグローバルPIMプロジェクトの進め方、実施体制についてパネルディスカッションが行われました。
Contentservを選んだ決め手について、関口氏は、「PIMの選定にあたり、いくつかのパッケージ製品を検討しましたが、Contentservの選択理由はアジャイル的に迅速に構築できる点でした。PoCを実施し、通常PoCはPoCの段階で終わることが多いですが、Contentservは本番運用にも適用できる、ほとんど完成品に近い状態で構築したという開発スピードが特徴的です。」と語りました。
※対談「顧客価値起点のマーケティング改革におけるグローバルPIMの役割」はこちらよりご視聴いただけます。
顧客が商品/製品情報サイトに求めるのは
データの品質と鮮度、優れた検索性と検索結果
株式会社エクサ エンタープライズ営業本部 ビジネスソリューション営業部
エンタープライズ推進室長 色川 達也 氏
エクサの色川氏は、B2Bの購買活動の92%が検索から始まり、企業の商品情報管理に関わる担当者の60%が商品を販売する際に「情報を正確に伝えること」が重要であるとの調査データを示しました。そして、同社が導入支援を行った精密測定機器メーカーであるミツトヨ様、塗装機器・空気圧縮機メーカーであるアネスト岩田様のWebサイトを例に挙げながら、商品情報管理からWeb CMSとの連携、検索システムを活用してお客様が分かりやすい、検索しやすい情報を整備する方法を具体的に説明しました。
また、B2B製造業のWebサイトで求められている商品/製品サイトの情報は、「データの品質、鮮度」と「優れた検索性と検索結果」であり、それらを実現するために、すぐに着手できる「商品情報管理」、「Webコンテンツ管理」、「検索」の対応、改善に少しずつ取り組むことをおすすめしました。
※グローバルB2B製造業の事例やエクサが提供するサービスデモについては、「BtoBグローバル製造業のWebサイト最前線」セッション動画でご覧いただけます。
業務の効率化・データの最適化が
顧客ニーズに素早く対応するための鍵
大日本印刷株式会社 情報イノベーション事業部 ハイブリッドマーケティング本部 山本 光重氏
DNPの山本氏は、オンラインとオフラインの垣根をなくし、顧客の検索情報や購買データなどを有効に活用する重要性を強調し、インテリア・雑貨の製造・販売を手がけるFrancfranc様の事例を紹介しました。
商品情報管理基盤の構築について、山本氏は、「Francfranc様では、Contentserv Product Experience Cloud (PXC)が提供する商品情報と関連するアセットを結びつけ、一元的に管理する機能が非常に高く評価されています。このような業務の効率化とデータの最適化によって、社会の変化や顧客ニーズの変化に素早く対応する情報基盤として活用されています。」と説明しました。
※「流通小売業界でのOMOの成功を導く商品情報管理基盤の構築」セッションは、こちらよりご視聴いただけます。
見積書作成の効率化・自動化も
プロダクトエクスペリエンスの重要な側面
priint Group CEO ホールスト・ヒューバー氏
ヨーロッパ地域を中心に連携ソリューション事例が最も多いContentservとpriint Group。priint Groupのホールスト氏が、Product Experience Summit Tokyoに登壇したのは、今回で2回目。アジア太平洋地域の業務提携を強める同社では、AIも活用した印刷の自動化を進めています。
ホールスト氏は、製造業におけるカタログ制作の効率化・自動化に加えて、見積書作成の効率化も大きな課題の一つとし、priint ソリューションで実現する見積書の自動生成について紹介しました。
見積書の作成において、手作業が多く、パーソナライズされた連絡先やロゴ、画像などのカスタム提案がない、パーソナライズされた見積書の自動生成ができない、一元管理の制作プロセスがない、翻訳も手作業といった課題があります。
ほとんどの場合、何千万の製品情報が掲載されている膨大なカタログが制作され、セールス担当が必要な情報を探し、見積書を作成することが手作業で行われています。priintソリューションを活用し、CRMやPIMからお客様情報と製品情報を連携することで、例えば、お客様のロゴやプロジェクトの画像などのパーソナライズされた見積書を、セールスチームがボタン一つで7カ国語で自動生成することができます。このようなお客様のコンテキストに合わせた見積書の自動生成もデジタル時代のプロダクトエクスペリエンスの重要な一面となっています。
※「Unlock the power of Product content with priint」セッションは、こちらよりご視聴いただけます。
PIM導入において最も時間のかかる作業を
AI活用で効率化し顧客体験を向上
株式会社Contentserv カスタマーサクセス・プログラムマネジャー 森 正臣
Contentserv カスタマーサクセス・プログラムマネジャーの森が、「AIで加速するPIMからPXMへの転換」と題し、データ活用において、分散したデータを整備することの重要性にふれました。PIM導入検討をしているお客様からは、「何から始めればいいか分からない」、「まず自社でデータ整備について整理したいため、モデルケースを提供いただきたい」という要望が多く寄せられていると語りました。
PIMの導入と運用において、最も時間のかかる作業である「データモデルの作成」、「オンボーディング」、「エンリッチメント」の課題に対処するため、ContentservがどのようにAIを活用して効率的に取り組んでいるかを、具体的な例を交えて詳しく説明しています。
そして、「AI活用によって、本来時間がかかっていた作業を短縮するだけでなく、作成するコンテンツの数も増やし、よりリッチな商品コンテンツを提供することで、顧客体験を向上させる仕組みをContentservが提供しています。これからは、マーケティングチャネルへの展開で「シンジゲーションの強化」、これらのチャネルでのパフォーマンス情報をContentservに戻す「チャネルインサイトの抽出」、インサイトをもとに体験を改善する「クラウドプラットフォームの強化」に焦点を当て、Contentserv Product Experience Cloud、Shoppingfeedなどのポートフォリオに追加されるテクノロジーを活用して、体験管理ソリューションとして一層の進化を遂げます。」と、Contentservソリューションの最新のアップデートについて紹介しました。
※「AIで加速するPIMからPXMへの転換」セッションは、こちらよりご視聴いただけます。
イベントの参加者からは「導入企業様の話がとても参考になりました」、「商品情報マスタからAIで自動タグ付けできる機能に興味を持ちました」、「引き続き様々な事例の共有をお願いします」、「Contentservの効果的な使い方について詳細に提案いただきたい」といった評価をいただき、90%が本イベントの内容に満足したと回答しました。
また、商品情報管理における課題については、74%が「製品に関するデータが各所に散らばっている」と回答し、同様に74%が現在、取り組んでいるデジタルマーケティングの強化・導入について、「商品情報管理(PIM)と「デジタルアセット管理(DAM)」を挙げていました。
Contentservは、これからもユーザー様とパートナー様と共に積極的な情報発信を通じて、製造・小売企業の顧客体験の向上、収益の拡大に貢献していきたいと考えています。
Product Experience Summit Tokyo 2023 - Photo gallery
Product Experience Summit Tokyo 2023はいかがでしたでしょうか。スピーカーの皆様、協賛いただいたパートナー関係者の皆様、ご協力・ご支援ありがとうございました。
株式会社Contentservは今後もお客様とパートナーの皆さまと共に、さらなるデジタルジャーニーを歩んでいくことを心より願っています。
本イベントを通して、少しでも今後のヒントとなる情報を得られましたら幸いです!