リファレンスコールで大切なのは、適切な質問をすること
自社のビジネスに適したソフトウェアを選ぶということは、非常に重要な決断です。そのソリューションが価値あるものかどうかを判断するには、自社特有の要件を満たしているかどうか時間をかけて検討し、導入、保守、必要なトレーニングなどのコストを十分に考慮する必要があります。
もちろん、実際に導入してみないと、それが自社のビジネスに適したソリューションかどうかはわかりません。そのため、最終的に購入を決める前に、候補となるベンダーの顧客と話をして、そのソリューションが実際にどのように機能するのかを確認してみるのがよいでしょう。
自社と同じような課題を抱え、同じようなメリットを求めている類似企業に話を聞くことで、ベンダーの営業資料やマーケティング資料には載っていないような知見が得られることがあります。そして、そのベンダーが、十分に満足しているユーザーから推薦を受けていれば、そのソリューションを調達することが正しい行動であると自信をもって決断することができます。
リファレンスコールで大切なことは、適切な質問をして、そのベンダーとソリューションが自社に合っていると納得できるまで質問を続けることです。
1. 背景、経緯
まず最初に、リファレンスコールを行うユーザーが自社と似たような分野で事業を展開していること、そのユーザーが抱える課題が自社が直面している課題と類似していることを確認しましょう。
これは、あまりに初歩的な質問のように聞こえるかもしれませんが、そのベンダーが貴社や貴社のニーズに合っているかどうかを理解する上でのベースになります。実際、この時点で、ベンダーがそのユーザーの課題をどの程度理解していたのか、また、ユーザーが購入を決断した理由についても、尋ねてみる価値があります。
ベンダーとの関係についても聞いてみましょう。必要なときにしか関わらないという人もいれば、会社の成功のためのパートナーと考えていると答える人もいるでしょう。この点については、あなた自身の見解があると思いますが、彼らの答えによって考えが変わることもあるかもしれません。
2. 導入とサポート
ソフトウェアソリューションの導入において、必要となる時間、コスト、社内リソースは特に重要です。ベンダーの導入プロセスが自社の期待と要件にどの程度合致しているかを判断するためにも、ユーザーに導入プロセスを説明してもらい、全体的な体験をどのように受け止めているかを聞いてみましょう。
どれくらい時間がかかったか、ベンダーからのコミュニケーションは明確だったか、パートナーを使ったかどうか、時間通りに予算内で納品されたかどうかなど詳しく聞いてみます。新しいソリューションにはトレーニングがつきものですが、このベンダーでもそうだったのか、その場合トレーニングは導入の前と後、どちらに実施したのかなども参考になる情報です。
また、ソリューション導入後にはサポートが必要です。そのユーザーがサポートの質をどのように評価しているか、ベンダーはユーザーのニーズに応えてくれているか、尋ねてみましょう。ここでも、時間、コスト、リソースを考慮する必要があります。
3. システムの利用
ソフトウェアの導入は始まりに過ぎません。本当に重要なのは、ソフトウェアが日常的にどう機能し、どのような成果をもたらすかということです。ユーザーには、そのソフトウェアをどのくらいの期間使用しているのか、また、その時点でソフトウェアのパフォーマンスは当初の期待に沿うものかを尋ねてみてください。ソフトウェアのお気に入りの機能と制限についても尋ねてみましょう。これらすべてを知ることが、決断を助けることになります。
貴社のビジネス全体の中でどのように機能するのかを把握するために、何人がこのソリューションを使用しているのか、また複数のチームがこのソリューションにアクセスしているのかを確認します。また、既存のソフトウェアと連携するための設定が必要だったかどうか、必要であればその設定は簡単だったかどうかを尋ねましょう。
自社でどう使うかを想定し、ERPのようなアップストリーム、またはeコマースのようなダウンストリームのシステムと統合しているかどうかは尋ねてみる価値があります。
4. 成果
さまざまな情報を集めることになりますが、そもそもこのソフトウェアを購入する目的はある特定の成果を得るためであることを常に念頭においてください。その上で、このソリューションを使って、ユーザーが実現できたこと、逆に、実現しようとしてできなかったことを聞いてみましょう。
そのソフトウェアを導入して得られたメリットを3〜4つまとめてもらうのもよいでしょう。そして忘れてはならないのが、実際にそのソフトウェアを日常的に使用しているエンドユーザーです。彼らから上がってきているフィードバックについても尋ねてみましょう。
ネガティブなフィードバックを聞くことを恐れる必要はありません。結局のところ、すべて重要な情報となります。変更管理や使用するユーザーの受け入れ等関して問題は生じなかったか。問題があったなら、どのように対処したのかなども聞いてみるとよいでしょう。
5. ユーザーの推薦
リファレンスコールは、ベンダーの営業資料だけではわからない、特定のソフトウェアソリューションの機能をより深く理解するための機会であり、調達プロセスの重要な部分を占めています。ベンダーが、推薦してくれない顧客を紹介することはほとんどありませんが、そのベンダーと長く一緒に仕事をしているユーザーは、そのベンダーの仕事ぶりについて貴重な洞察を持っているということを覚えておいてください。適切な質問をすることで、リファレンスコールを最大限に活用することができ、その購入が正しいものかどうかの判断に役立ちます。