今日の消費者は、オムニチャネルとマルチデバイスを活用して買い物を楽しみ、常に情報に囲まれています。
つまり、さまざまなデバイスを使って複数のチャネルから商品について調べ、ブランドと接します。そのタイミングはばらばらで、一度だけとは限りません。それでも消費者は、特定の商品やブランドとのすべての接触を 1 つの体験と感じます。
消費者の頭の中には、いわば「カウンター」があり、こうした接触のたびに、体験の良し悪しに応じてポイントが加算または減算され、その得点によってブランドのイメージが決まるのです。
リッチな商品情報とは、簡単な説明から、詳細説明、原材料、使用方法、技術仕様、動画、デジタルアセット、FAQ、ユーザーレビューまで、包括的で一貫性があり正確かつ最新の情報の総称です。魅力のある商品情報を提供することには以下のメリットがあります。
商品体験とは、特定の商品と関わる際の消費者の体験を、商取引のエコシステムの中の 1 つの体験として捉えたものです。その最終目標は、消費者と持続的な信頼関係を築くこと、つまり、消費者との関係を、できれば何世代にもわたって永続的に育んでいくことです。この関係構築の出発点となるのが、すべてのチャネルで、包括的で一貫性のある正確かつタイムリーな商品情報を提供することです。
では、商品体験はなぜ重要なのでしょうか。関係構築とコンバージョンの土台となるのが信頼です。そして、実店舗では、接客係や販売スタッフが消費者と直接話すことができますが、オンラインショッピングや e コマースでは、消費者が接するのは人ではなくコンテンツだからです。
たとえば McKinsey 社の調査によると、信頼構築の重要性が極めて高い保険業界では、一貫性のある最高クラスの顧客体験を提供する企業の新規契約件数と利益率は、一貫性のない企業に比べて高くなります。
一貫性のある最高クラスの顧客体験を実現するには、すべてのチャネルで優れたコンテンツを用意するだけでなく、顧客のライフサイクル全体で高品質なサポートを提供する必要があります。
Web サイトや商品ページに掲載されるタイトル、説明、価格、画像などの情報は、ごく基本的な静的コンテンツです。これらの目的はあくまで情報提供であり、消費者から感情的な反応を引き出すことではありません。そのため、エンゲージメント、コンバージョン、ロイヤルティには何も影響しません。
Dollar Shave Club 社は、商品コンテンツで成功したブランドの 1 つです。Web サイトを少しのぞいただけで、同社の商品の魅力がよくわかります。商品はただのカミソリです。わくわくするようなものではありません。また、シェービングという行為も、脳の手術などとは違い、たいして情報を必要としません。ごく単純な行為です。
にもかかわらず、同社の Web コンテンツは、シェービングがいかに楽しく魅力的な体験であるかを誇張し、それをあまりに愉快に表現しているため、メインターゲットではない女性でさえも購入したくなるほどです。克服したのはカミソリやシェービングの退屈さだけではありません。商品自体も Gillette や Schick などの大手ブランド商品に比べて明らかに劣っています(実際、Dollar Shave Club 社は替え刃を中国の卸売業者から輸入しています)。この点からも、同社が商品そのものではなく、顧客体験を武器に、ライバル企業に競争を挑んでいることは明らかです。その戦略は業界全体に衝撃を与えました。結局、Dollar Shave Club 社は、米国のカミソリ市場で 15% のシェアをもぎ取っただけでなく、Unilever 社(Gillette ブランドを保有する P&G 社の最大のライバル)によって 10 億ドルで買収されたのです。
これは、デジタルビジネスの世界について企業が学ぶべき教訓の絶好の例と言えるでしょう。つまり、「売るのは商品ではなく体験」ということです。
最上部にバナーイメージがあり、その下に商品情報とメッセージが続きます。この Web サイトは、消費者の心をつかむポイントをしっかりと抑えています。
メッセージと視覚的なインパクト ✅
情報と知識 ✅
付加価値 ✅
フルフィルメントとその他の考慮事項 ✅
透明性 ✅
半ば公然となっていますが、成功のための秘訣と言えるのが、ユーモアです。Clutch 社の最新調査では、53% の消費者がユーモアのある広告を好み、記憶に残りやすいと答えています。
Dollar Shave Club 社は、ターゲットオーディエンスの感情のスイッチを見事に見つけ出し、オーディエンスを大いに楽しませて、笑いが止まらないほどの成功を収めました。同社の驚きのストーリーについて詳しくは、こちらをご覧ください。
Dollar Shave Club 社の例からわかるとおり、コンテンツの作成は消費者に関するインサイトを得るところから始まります。デモグラフィックや感情のスイッチはさておき、まずはデータから以下のような基本事項を確認する必要があります。
「ターゲット層の習慣や嗜好は?」
「ターゲット層は購入前に何を必要とし、何が原因で購入をやめる?」
ファッションや美容業界の場合、高価な商品が多いために購入をためらいがちですが、無料のサンプルやお試しサービスを提供することで認知度と好感度を効果的に向上させることができると実証されています。また、事実上あらゆることが可能なデジタル時代においては、消費者にコストを負担させず、店舗に出向いてもらうこともなく、サンプルやお試しサービスを提供できます。
化粧品ブランドの Sephora 社の例を見てみましょう。ユーザーは、同社が提供する Sephora Virtual Artist アプリをダウンロードするだけで、アプリを使ってカラーメイクを自分の顔で試し、似合うかどうかを確認できます。
メイクが肌にフィットするかどうかまではわかりませんが、少なくとも、買わなくてはいけないというプレッシャーを感じることなく、さまざまなメイクを楽しむことができます。Sephora 社にとってもこのアプリは賢い投資と言えます。米国の 2018 年第 1 四半期版 Global Commerce Review によると、ショッピングアプリでのコンバージョン率はモバイル Web サイトの 3 倍にのぼるためです。
それは、すべての人です!消費者として支出以上の価値を得ようと、誰もがさまざまな下調べを行い、できるだけ正確で詳しい情報を手に入れて、購入するかどうかを判断するためです。しかし、商品情報を提供する側もさらにメリットを得られます。
包括的で一貫性があり、関連性が高く、コンプライアンスに準拠した正確な商品情報を提供するには、PIM(商品情報管理)システムでデータを管理することが欠かせません。PIM は、その名のとおり、商品情報管理について企業がよく直面する以下のような課題を解決するためのソリューションです。
課題はほかにもたくさんあり、業界や企業によってもさまざまですが、いずれも PIM で対応可能です。さらに PIM は、画期的な商品体験を実現するための基盤にもなります。データと商品情報をすばやく準備できれば、感情に訴える体験作りにすばやく着手できます。