「データは新しい通貨である」 この言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。データ駆動型の組織は、競合他社を凌駕し、顧客を獲得する確率が23倍も高いと言われています。では、正確かつ安全に、一貫性を保ってデータを活用し、より賢明なビジネス上の意思決定を日々行うためにはどうすればよいのでしょうか。その答えは、データガバナンスです。データスチュワードは、企業がデータにまつわる既存の原則、ルール、基準を確実に遵守できるようにします。
データガバナンスプロセスを導入すれば、それだけで運用できると思われがちです。しかし、堅牢なデータ品質やマスターデータ管理(MDM)プラットフォームがあっても、データガバナンスのフレームワークで確立された原則とプロセスを遂行する担当者が必要です。彼らは、データプロセスを監視し、新しいルールを提案し、システムを構築し、データの問題を軽減します。そして、データライフサイクル全体を通じて、データ、マスターデータ、メタデータの品質を保証できるよう取り組みます。
今回は、データスチュワードシップの定義、なぜそれが問題となっているのか、そして組織におけるデータスチュワードの役割と責任についてご説明します。まず、データスチュワードシップの定義から始めましょう。
データスチュワードシップとは?
データスチュワードシップとは、企業のデータ資産をアクセス可能で、使用できる状態にし、安全で、信頼できることを保証するための実践、プロセス、およびツールの集合体です。データの作成、収集、準備、活用からデータの保存、削除に至るまで、データのライフサイクルのあらゆる側面を管理・監督することが含まれます。スチュワードシップは、データの所有者、あるいはデータが正常に動作するように維持する責任を負う担当者を明確にします。通常、データの品質と完全性を促進するために、データの保存と使用方法に関する一連の原則、手順、ベストプラクティスを確立することが含まれます。
他にも:
- データの利用しやすさ、使いやすさ、安全性、信頼性を確保すること
- データの透明性、正確性の維持
- 企業が保有するデータの種類を把握し、文書化する
- データ活用にあたっての、データポリシー、ビジネスルール、規制の適用
- ステークホルダー、データオーナー、ビジネスユーザー間でデータ駆動型の文化を醸成する
なぜデータスチュワードシップがそれほど重要なのか?
ガートナーのシニアアナリスト、Ted Friedman氏は、「企業がデジタルビジネスへの取り組みを加速させるにつれ、データ品質の低さは情報の信頼性とビジネス価値の危機を招き、財務パフォーマンスに悪影響を及ぼす大きな要因となっている」と述べています。企業にとってデータの収集自体はかつてないほど容易になりましたが、これにはチャンスと同じだけの責任が伴っています。実際、データ品質の低さが原因で、40%の企業がビジネス目標を達成できず、20%程度の収益を失う可能性すらあると言われています。しかし、効果的なデータスチュワードシップ・モデルがあれば、こうした事態は避けることができます。