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グローバル展開する製造業が いま注目すべきデジタルマーケティング戦略と、 商品情報管理・多言語化の ソリューションとは

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グローバル展開する製造業がいま注目すべきデジタルマーケティング戦略と、商品情報管理・多言語化のソリューションとは

デジタル技術によって異業種からの参入、不確実性によるサプライチェーンのリスク、個人情報保護やSDGs、ESGを目的とした各国の規制強化など、グローバル製造業を取り巻く環境は急速に変化しています。

グローバル企業にとって、急速に変化する市場環境変化や規制に対応し、事業展開する国ごとに合わせた良質な顧客体験の提供が、競争力を強化する上でますます重要になっています。その役割を果たすためには、企業の資産である商品やサービスデータを効率的に管理し、各国市場に向けてスピーディに発信する仕組みの重要性がますます拡大しています。 

クッキーレス時代にグローバル製造業が備えるべきマーケティング戦略と、それを支えるエコシステムの活用で重要なポイントとは?サードパーティデータ活用が規制されるクッキーレス時代において、グローバル展開する製造業はマーケティング戦略やデジタル戦略をどのように考えていくべきか。

※本記事は、20223月に開催された、商品情報管理(PIM)ソリューションを展開する株式会社ContentservWebサイトの多言語化ソリューションを提供する Wovn Technologies株式会社 B2B企業のデジタルコミュニケーションの総合支援サービスを手がけるイントリックス株式会社3社共催によるWebセミナー「グローバル製造業における、クッキーレス時代のデジタルマーケティング戦略 ~PIM活用・多言語対応の最新事例~」をもとに編集しました。

スピーカー: イントリックス株式会社 取締役/CTOの猪目 大輔氏、Wovn Technologies株式会社 Sales Department・Solution Consulting Section Headの早坂 淳氏、株式会社 Contentserv代表取締役の渡辺信明

環境変化への対応を出発点とした

変革の試みが重要に

 

いまグローバル展開を進めている製造業は、デジタル領域で大きな環境変化に遭遇している。猪目氏はForresterとCEBのレポートを掲げ、「米国のB2Bユーザーの多くは、営業担当者と会う前に自ら情報収集し、比較検討を済ませています。このような行動変容は日本市場でも明らかに感じるようになっています」と現状の認識を語った。

こうした動きはコロナ禍で加速した面があるのは事実だが、それ以前にもB2Bビジネスユーザーはまず検索から入るというデータがあった。ただ、渡辺は「最も信頼できる情報はその会社のWebサイトで得られると考え、期待をもってアクセスしても、裏切られる結果になっている」と指摘。

 猪目氏も「ベテランの営業マンが減り、代わりにソリューションや製品の知識がない若手営業マンの比率が上がっている」と語り、企業は環境の変化を出発点として、インターネットをマーケティングや営業のツールとして活用するために何をしていくべきかを考えるべきだとした。

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Cookieの利用制限により自社で収集できるファーストパーティデータを活用したデジタルマーケティングがこれまで以上に重要になってくる

そこで浮上してくるのがクッキーレスの話だ。Cookieの利用が制限されることで、自社で収集できるファーストパーティデータを活用するデジタルマーケティングの重要性が増している。猪目氏は、質の高いファーストパーティデータを取得するために企業がなすべきことは、顧客視点でのコンテンツ強化だと話す。そのために企業のWebサイトは、どういったサービスを顧客に提供してどういった成果を得たいのかを設計して制作し、かつ持続的に運用することが大事だと提案する。

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加えて、日本以外の市場に参入する企業はWebサイトのグローバル展開もテーマとなってくる。グローバル展開においては多言語という課題がある。この多言語展開について早坂氏は、最近はSDGsESG専門のサイトを立ち上げるため多言語化したいというニーズが徐々に増えていると明かす。

 こうしたニーズに絡み、商品が排出する二酸化炭素量やリサイクル材で作られているといった、環境貢献に関する商品情報も求められるようになった。これは従来の営業・マーケティング視点にはない属性であり、商品情報も多角化しているようだ。「そうした情報を日本語だけでなく多言語で発信していくことが企業の説明責任である、という時代になっていくでしょう」と渡辺も予測を示した。

商品の価値を顧客に的確に伝える

PIMと多言語の意義

 

では、実際に顧客視点で価値の高いコンテンツを作り、管理していくにはどうすればいいのか。渡辺は「DX推進という掛け声の中でCMSやMA、ECなどが導入されていますが、なかなか結果が出ません。なぜでしょう」と問いかけた。そのうえで、商品情報は自社のビジネスそのものであり、モノやサービスを含めた商品をしっかり管理し、顧客に価値を伝えられるようにしなければ、顧客接点やマーケティングプロセスをいくら整備してもうまくいかないことを示唆した。

渡辺の提案は、すなわち商品情報管理の重要性を示すものだ。PIMに対する認知度は日本では低い。ただ、日本以外の市場での売上比率が高まる中で、PIMはなくてはならないソリューションとして認知されていくのではないかと渡辺は展望を述べた。 

これを受けて猪目氏は、ベテランと若手営業担当者の情報格差に加え、グローバル企業では日本と海外販社の情報格差を埋めていくことも重要な課題になっており、その格差を埋める意味でもPIMには価値があると話した。

渡辺はここまでの話をまとめて、従来は製品情報を標準化し、日本語で管理してきたが、マーケターはマインドセットを自らアップグレードし、商品情報として顧客のペルソナに最適化、さらに多言語化してはじめて、目指すTo Beの姿に近づいていけると強調した。

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ここでも再び登場した多言語化というキーワードに絡み、早坂氏はグローバルサイトのあり方に言及。日本以外のサイトでファーストパーティデータを取得し、一貫したUXを実現するには、やはりコンテンツを現地語対応とすることが必須になっていると語った。

「インターネットユーザーで日本語を使っているのはわずか3%。英語ユーザーも25%しかおらず、非英語7言語のユーザーが半数います。また、42%が母国語以外のサイトで商品購入したことがないというデータもあります」(早坂氏)

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にもかかわらず、現状は本社主導での多言語化は進んでおらず、現地リージョンもコストやリソース不足で対応できない。結果、グローバルサイトを作っても英語化だけで手一杯という企業がほとんどだ。

早坂氏は、グローバルサイトの多言語化には2つの課題があると話す。一つはサイトやシステム改修に膨大 なコストと開発期間が発生するというシステム上の課題、もう一つは翻訳作業の時間・コストや用語統一のガバナンスなど翻訳に関する課題だ。

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グローバルサイトを多言語化していく際のポイントについて早坂氏は「まずは共通資産となるコンテンツをヘッドクオーターから展開すること」だと語る。これによりコストを抑えながら、企業理念やパーパス、製品情報、ESG/SDGs、人材の取り組みなど多彩なコンテンツを共通化することも可能になる。

この共通化という方法論について、猪目氏は「例えば共通化率を8割にしようとしても、フタを開けると独自コンテンツを出したいといった声に押され、投資対効果は崩れてしまいがち」と問題提起し、「うまくいっている会社は、きっちりと統制を利かせています」とガバナンスの重要性を示した。

PIM+DAMと多言語化ソリューションの

ベストプラクティス

 

続いて話題は、コンテンツ基盤としてのPIM+DAMの活用術へと移った。渡辺はPIM導入の前提として検討すべきこととして、最適なデータモデリングやインタフェース設計を挙げた。とりわけインタフェース設計をないがしろにして進めてしまうと、結局あとから工数が増大してしまうという。

そのうえで渡辺は、PIMの原則として「顧客起点のデータモデル設計」「PIMとして持つべき属性をシンプルに考えてみること」「愛情を持って育てる覚悟」が必要だと話した。

顧客起点のデータモデル設計とは、どのような顧客であり、どういったユースケースか、から考えることだという。2つ目については、DAMを使うと複製や変換された出力結果まで含めてすべてを持ちたがるが、その必要はなく、シンプルに格納して動的に生成・出力する仕組みをAPIを活用して作っておけば、よりアジリティの高いアーキテクチャができると強調する。

そして3つ目の育てる覚悟は、コンテンツを安易に外注せず、内製化に注目すべきだと語った。ただ、いきなり自分たちですべてをやろうとせず、並走できるパートナーと一緒に育てていくことも重要だという。

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一方の多言語化ソリューションの活用術としては、早坂氏がまず WOVN 3つのコンセプト「Connect」「Integration」「Enterprise Fit」を紹介。どんなシステムでも改修なしで WOVN につなぐことができ、いくつもの翻訳エンジンの統合活用で最先端の翻訳データを得られ、さらには翻訳結果のローカライズにも対応していることを説明した。

そのうえで、WOVN を導入してグローバルブランドとしての認知度を高め、企業ブランド力の強化に取り組むヤンマーホールディングスの事例を解説した。同社は共通化できるコンテンツを作り、その中で WOVN を活用。まずは元言語となるサイトを立ち上げ、そこに WOVN をつないで機械翻訳し、多言語のサイトをローンチする仕組みをとっているという。 

猪目氏は、「さまざまな多言語ソリューションを見てきましたが、WOVNの良さは既存の資産を生かしたまま、WOVN の仕組みを載せられることですね」と評価した。

 

勇気を持った企業こそが

先に進んでいる現状を知る

最後のセッションでは、2022年にB2Bデジタルマーケティングで浸透させたい3つのポイントとして「コンテンツ内製化」「マーケットインという言葉に逃げない」「タッチポイントのグローバル化」の3つが提示された。

コンテンツ内製化については、本社のスタジオを活用して社内のデジタルコンテンツ制作チームが企画から制作、配信まで一気通貫で行っているアネスト岩田や、全社横断のマーケティング戦略統括部を立ち上げている日立建機日本の例が紹介された。アネスト岩田は売上350億円程度の空気圧縮機や塗装機器のメーカーだが、この規模でコンテンツ内製を実施していることに驚いたと猪目氏は所感を述べた。

「マーケットインという言葉に逃げない」については、渡辺氏が次のようにコメントした。

「これは言い換えると、勇気を持つということ。多くの会社の製品は良い製品ですが、良い商品ではないことが多い。極端に言ってしまえば、商品化できていません。だからもっと自信を持ち、勇気を持って、商品の価値をきちんと伝えるため、コンテンツを自分たちで作りましょうということです。顧客の体験を先回りして想像したうえで、コンテンツとプロダクトをバンドリングし、世に出していく。PIMはそのために活用できます」

そしてタッチポイントのグローバル化については、早坂氏が「Webや広告、SNS、イベントなど多様なタッチポイントがありますが、いまはB2B、B2Cを問わず動画が重要なタッチポイントになっています。さまざまな母国語の人に見てもらうため、字幕を多言語化してタッチポイントを強化していくことが、今後は大きな意味を持ってくるでしょう」と語った。

最後に渡辺氏が「2022年は地政学的な不安もありますし、コロナ禍の影響もある中で、先行きは不透明です。そういうときだからこそ、勇気を持って変革していく実行力が求められます。私たちもお客様と並走し、この時代を乗り越えていきます」と語った。

これを受けて早坂氏は「勇気を出した現場の人間が、社内で味方を増やすことが一番大事だと思います」と話し、猪目氏も「自社よりデジタル活用が進んでいるところに話を聞きにいき、その話を社内に伝えることも有益です」とアイデアを提示したうえで、「渡辺さんが言った勇気と覚悟がすべてのキーワード。勇気を持てた企業がいま先行しているので、みなさんもぜひ一歩踏み込んでほしいですね」と語り、セミナーを締めた。