企業内では、データを集約・管理するためにさまざまなソリューションが活用されており、これらのソリューション間の連携が必要です。たとえば、エンタープライズコンテンツ管理(ECM)、商品情報管理(PIM)、デジタルアセット管理(DAM)、文書管理システム(DMS)などがあります。
本記事では、これらのソリューションの違いと、それぞれが解決できる課題について整理します。
エンタープライズコンテンツ管理(ECM)
ECM(Enterprize Content Management)ソリューションは、企業の請求書や取引明細書などの重要な非構造化文書の保存、管理、配布を支援します。
ECMの活用シーン
- ヘリコプター製造業者
世界有数のヘリコプター製造業者は、大規模な文書を集約し、800ページに及ぶヘリコプターメンテナンス記録書を簡単に作成する方法を求めていました。データは、400近いインスタンスとシステムに保存されていたので、ECMソリューションを使用するまではそれらの情報を1つの文書に記録し、統合することは非常に困難でした。ECMソリューションの導入により、この課題を克服することができました。
- 電気通信事業者
ある電話会社は、電話料金明細書に関して顧客のエクスペリエンスを向上させることを目指していました。同社はECMソリューションを利用して、使用量(SMSおよび通話)、プロファイル(個人情報)、マーケティング(ロイヤルティポイント)、法的情報などの情報を集約・整理しました。ECMを活用することで、同社は顧客にカスタマイズされた情報を提供することができるようになり、また商品の紹介やプロモーションのための効果的なプラットフォームを構築することができました。さらに、顧客の消費傾向に関する洞察を提供することで、顧客からの強い需要に応えることができました。
商品情報管理(PIM)
PIM(Product Information Management)ソリューションは、商品に関するあらゆる情報を集約および管理し、すべてのチャネルに効率的に配信することを可能にします。
通常、企業は技術およびマーケティング関連の多数の商品データを保持しており、それらはさまざまな形式で複数のリポジトリに保存されています。PIMソリューションのデータモデリング機能により、すべての商品データを標準化し、それらの特性や構成を整理し、分類できます。その後、商品データは単一の中央リポジトリに集約でき、組織内外に正確な商品データを配信することが可能になります。
PIMの活用シーン
- 食品業界
規制の厳しい食品業界には複雑な商品情報の要件があり、ブランドは商品の化学的性質、成分、および原材料を公表する必要があります。また、情報は国際または国内市場で入手可能にする必要があります。PIMのデータモデリング機能により、ブランドは区分やカテゴリーを作成でき、同時に商品情報の正確性と関連性を確保できます。数カ国で販売されている場合、顧客の要望に応えるためにコンテンツを自動的に翻訳しローカライズすることができます。
デジタルアセット管理(DAM)
一方で、DAM(Digital Asset Management)ソリューションは、画像や動画などのデジタルリソースの保存と管理を一元化し、クリエイティブやマーケティングチームが安全かつ簡単にデジタルアセットを検索、改善、配信することができるようにします。
中央リポジトリは、プロセスの改善と広告キャンペーンやその他のマーケティング活動におけるクリエイティブなコラボレーションを促進する役割を果たします。
PIMとDAMは補完的なソリューションであり、しばしば組み合わせて使用されます。PIMを使用して商品情報を管理し、DAMのデジタルコンテンツと簡単に関連付けることができます。
文書管理システム(DMS)
DMS(Document Management System)は、電子文書および画像の保存、管理、追跡を可能にします。このソリューションにより、古いプロセスを廃止し、文書のデジタル化を加速し、法的コンプライアンスを確保できます。欧州では、コンサルタント系企業はセキュリティ上の理由から、政府から法的文書および機密文書(契約書、給与明細書など)をDMSソリューションを介して提出するよう要求されることがあります。そのため、DMSはタイムリーなソリューションとなっています。多くの場合、DMSは電子署名または証明書と関連付けられます。
DMSの活用シーン
- デジタルセキュリティ
現在、Eメールは無形のエビデンスとみなされています。しかし、Eメールは改変や偽造が可能です。DMSは、文書の安全なやりとりやバージョン管理によってこの問題を解決します。給与明細書については、紙での保存を廃止し、電子的に保存できます。
- 租税制度
フランスの租税制度では、特定の場所に保存するなどの数々の制約を満たすことで、文書の電子化が認められています。DMSは、コンプライアンスを通じて文書をデジタル化し、法的な制約を解決します。
まとめ
本記事では、4つのソリューションの役割の違いについて解説しました。ECMは取引データを扱い、PIMとDAMは商品データを扱い、DMSは文書のデジタル化と保護を行います。これらのソリューションは業務用途が異なりますが、データの単一のレポジトリを推進することで、データの集約、管理、配信の効率化を実現します。さらに、データ品質を向上させ、コスト削減やリードタイムの短縮、コンプライアンス対応の容易化にも役立ちます。
デジタルビジネスがますます加速する現在、商品を迅速に市場に投入し、顧客体験を最適化することを目指す企業にとって、PIMとDAMは効率的な商品データの管理と活用を実現するためにますます重要なデータ基盤となっています。PIMとDAMの活用に関する関連資料をご覧いただき、ご質問などがございましたらお気軽にご相談ください。