顧客維持の鍵は、顧客の離脱を防ぐことであるのは言うまでもありません。顧客中心主義の企業が信奉する「お客様は神様です」という格言がありますが、今日、この言葉が再び説得力を持ちだしています。
テクノロジーが爆発的に発達し、顧客はあらゆる場面でより良い体験を期待するようになりました。そのため、ブランドは顧客一人ひとりをビジネスの中心として扱う以外に選択肢がなくなってきているのです。
ここで、顧客維持戦略がいかに重要であるかを示すデータをご紹介しましょう。
ひとつは、顧客を認識し、記憶し、関連性のあるオファーやレコメンデーションを提供することを怠るブランドは、それを期待している91%1の顧客を失う可能性が高くなります。
一方で、顧客を大切にするブランドは、顧客維持率を5%高め、利益を25~95%押し上げる可能性が高いといわれています2。
これらは、ほんの一例です。堅実なリテンション(維持)戦略は、ブランドがより強固でロイヤルティの高い顧客基盤を構築する上で欠かせません。顧客の購買プロセス全体を通して、ここぞというときに望ましい成果をだすには、リアルタイムのエンゲージメントが必要であり、すべてのタッチポイントで常に文脈に即した適切な体験を提供することが求められています。
この顧客エンゲージメント戦略は、リアルタイム インタラクション マネジメント(RTIM:Real-Time Interaction Management) として知られています。RTIMとは、顧客のライフサイクルの適切な瞬間に、文脈に応じて適切な体験、価値、役に立つものを、好ましい顧客接点を通じて提供する企業のマーケティング技術である、と Forrester3によって定義されています。
ブランドは、RTIMによって顧客維持戦略を強化できるほか、次のようなメリットがあります。
競合他社に勝つために、ブランドは、積極的に顧客を獲得し、維持するよう取り組んでいかなければなりません。
ここでは、RTIMがブランドの顧客維持に役立つ3つの方法をご紹介します。
お客様は、自身のニーズが生まれた瞬間に、いつでも、どのチャネルでも繰り返し応えてくれる、信頼できるブランドに惹かれます。シームレスな体験をコンテクストに沿って提供するには、適切なニーズを適切なタイミングで、適切なチャネルで提供することが重要です。RTIMによって、ブランドは、常に継続的なエンゲージメントを実現し、顧客との対話ごとに価値とサービスを提供することができます。これにより、ブランドは信頼と忠誠心を生み出し、顧客はそれに応えてブランドに留まり、支持者となるのです。
ヒント: ブランドは、RTIM戦略をオムニチャネルのマーケティング・イニシアチブと連携させ、どのチャネルであっても、顧客が常に適切でシームレスな体験を得られることをアピールする必要があります。
デジタルに精通したお客様を獲得し、維持するには、お客様のニーズや好み、購買のきっかけを理解するだけでは不十分です。顧客のコンテクストをより深く理解し、適切なオファーを提示できなくては、ブランドの印象を確かなものにし、顧客を引き留めることができません。RTIMは、ブランドが適切な情報を収集し、特定の時間に顧客に関連した最高のオファーを提供することを可能にし、顧客が切望するパーソナライズされたアプローチを実現します。
ヒント: ブランドは、大量の商品データや顧客データを管理し、データ分析が示す可能性を活用する方法を見つけなければなりません。そのために、ブランドはデータに焦点を当てた補完的なソリューションを探す必要があります。
優れたRTIMソリューションの条件の一つが、複数のテクノロジーと統合できることです。Forresterによると、それぞれのRTIMソリューションには異なる機能が含まれており、ブランドの要件によって、複数のベンダーと統合するためのツールが必要になります。ブランドは、商品や顧客のデータを管理し、コンテンツを作成・公開して、顧客にとって重要な瞬間に適切なメッセージや商品を提供するための専門技術に依存しています。
ヒント: ブランドは、商品情報や顧客情報を効果的に扱い、商品固有のコンテンツをシームレスに作成・公開するために、マーケティングリソース管理ソリューションを活用する必要があります。
Forrester社が言うように、RTIMソリューションをうまく利用するには、統合が鍵となります。しかし、ブランドのITインフラ、ウェブの上に、さらにシステムを追加することは容易なことではありません。したがって、ブランドは、すべてのチャネルにおいて、正確で、完全で、適切な商品情報を管理し、配布し、さらには、パーソナライズされ、コンテクストに沿った体験を実現するためのプラットフォームを提供するベンダーを選ぶことが非常に大切です。