2022年には、ロシアのウクライナ侵攻といった政情不安もあり、エネルギー危機が発生し、物価上昇が加速し、主要各国の利上げによる景気後退懸念が高まりました。一方で、巣ごもり消費、リモートでの仕事や授業などのコロナ禍における変化に対応するため、IT投資やセキュリティ強化、デジタルマーケティング、eコマースへの取り組みはさらに加速した1年となりました。2022年の振り返りとし、最も読まれた弊社記事トップ5をまとめました。オムニチャネル戦略、マーケットプレイスの活用、リテールDX、体験型ショッピング、お客様企業の成長戦略に関連したコンテンツがランクインしています。2023年のマーケティング活動におけるヒントとして、この機会にぜひご一読ください。
2022年に最も読まれたContentserv 記事トップ5
1. 2022年以降、リーチを拡大する方法
すでにオムニチャネル戦略を導入している企業は、インタラクションが分業制になっている企業に比べ89%も高い顧客維持率と満足度を得ています。ビジネスの成長を加速させ、既存顧客の潜在能力を最大限に引き出し、新規顧客の関心を引きつけるための方法とは?
ざっくりまとめ
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オムニチャネルの顧客をサポートする。顧客はシームレスで使いやすいマルチチャネル体験を期待する今の時代、クロスチャネルのビジョンを実現するために必要なリソースを確保するのに限界があります。だからこそ、マーケットリーチ戦略を慎重に計画し、ビジネスのユースケースをサポートするために最適なチャネルを選択することが重要です。そして、オムニチャネル戦略を実行するためには、データを収集し、バイヤーズジャーニーをマップ化し、マーケティングプロセスを調整する必要があります。
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商品情報をすべてのチャネルに労力をかけずに配信する。さまざまな業界の企業は、パーソナライズされた商品コンテンツに投資することで、まさに今その成果を得ています。実際、B2Bマーケターの78%が、より高品質で効率的なコンテンツ作成がコンテンツマーケティングの成功につながったと回答しています。効果的なオムニチャネル戦略とは、たとえチャネルが違っていても、同じ商品について、お客様が完全で一貫性のあるパーソナライズされた情報を見つけることができるよう、データを統一することです。
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翻訳の手間を省き、新たな購買層を獲得する。消費者の72.4%は、母国語の情報がある商品を購入する傾向があります。実際、56.2%が価格よりも重要だと考えており、海外の顧客は明らかに自分向けでない情報やメッセージには目を向けないことを表しています。新しい市場を開拓するたびに翻訳やローカライズのプロジェクトが発生するため、商品情報の効率的な管理、翻訳の自動化などのプロセスの簡略化が重要です。
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商品情報をオムニチャネルの文脈で整理する。eMarketer の調査によると、91%の買い物客が、オンデマンドでアクセスできるインタラクティブなビジュアルコンテンツを好んでいます。ブランドにとっては、よりショッパブルなコンテンツを作成することが重要になっており、コンテンツマーケティングとEコマースの境界線はますます曖昧になります。 企業は、メッセージを伝え、マーケットプレイスで商品を販売する上で必要な要件を満たし、そのプラットフォーム内で必要なデータガバナンスを適用する必要があります。
- PIMシステムでエコシステムを活用する。データの統合とエコシステムの連携により、企業はすべてのショップで商品データを確実に同期させることができ、その結果、オムニチャネル体験に求められる正確で一貫したリッチコンテンツを提供することができます。
2. 世界のB2Bマーケットプレイスのトップ5
インクウッド・リサーチの調査によると、世界のB2B eコマースの市場規模は、2022年から2030年の予測期間中にCAGR21.07%で拡大すると予測されています。これら数字に基づくと、将来のeコマース、少なくとも近い将来についてはB2Bが支配的といえるでしょう。B2Bマーケットプレイスのトップ5の特徴とメリットとは?
ざっくりまとめ
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Amazon Business: Amazon Businessは、「当社の年換算ランレート100億ドルのうち、サードパーティーセラーの割合は50%以上」と述べています。さらに、一時的または戦略的な購買のどちらにも対応するワンストップのプラットフォームであるため、企業の支出の管理に役立つと自信を持って主張しています。
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Alibaba com: Alibaba comは、無数のサプライヤーへのアクセスのほか、企業はきわめて低価格での購入や、高い小売価格での販売が可能です。同じく重要なのは、Amazonとは違い、Alibabaは顧客と競合することがなく、ビジネスモデルがソフトウェアベースであるため倉庫や物流に投資する必要がありません。同社の理念は2社間のビジネスを推進することです。
- 楽天市場: Alibabaと同じく、楽天は顧客と競合することはありません。楽天で競争があるのは販売者間のみです。素晴らしい体験の提供に力を入れており、販売者に価格だけではなく、ホスピタリティやカスタマーサービスで競争するように勧めています。
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IndiaMART: IndiaMARTは、他のマーケットプレイスと比較した場合の独自の優位性を「reach, brand recognition, breadth and quality of suppliers and product listings, pricing and customer service(リーチ、ブランド認知、サプライヤーと商品の幅広さと質、価格およびカスタマーサービス)」であると述べています。
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Global Sources: Global Sourcesの主な注目点は信頼性の保証です。サプライヤー数はAlibabaの100万社に対して15,000社ですが、そのすべてが厳格な選別プロセスを経ています。
3. 家具小売業における商品情報管理システムについて
広範囲のデジタル化、例えば商品情報管理システム(PIM)の導入は、決して簡単なことではないのは事実です。しかし、Manuel Dirnhoferは多くの実例を上げながらPIMシステムが小売業者にもたらす利点について説明しています。
ざっくりまとめ
- 10年ほど前は、試し履きできないオンラインで靴を買うことなど想像もできませんでしたが、今では現実化しています。家具産業も靴同様、商品の質感を伝えることが大切な産業のひとつですが、この分野においてもwayfair.comのようなオンラインショップや、ドイツのhome24.deやmoebel.de、日本のhttps://www.low-ya.com/やのショップ、それが可能であることを示しています。
- 多くの消費者は、オンラインショッピングのメリット、つまり24時間365日営業していて、品揃えはほぼ無制限、優れた比較機能、場所を選ばないアクセスなど、これらなしにはいられないと考えるようになっています。
- オンラインショップの成功は、商品情報の質と一貫性に左右されます。結局のところ、それが潜在的な顧客の感情に訴える唯一の手段なのです。もちろん、寸法や素材、形状などの情報は重要です。しかし、人々にインスピレーションを与え、購入につなげるためには、高品質な商品画像、アニメーション、動画、あるいはBGMなど、それ以上のものが必要です。
- 販売チャネルのデジタル化で重要なことはデータ管理です。信頼できる唯一の情報源(Single Point of Truth) が必要です。データサイロは、チャネル間で一貫した商品情報を提供する上でネックとなります。
4. 注目が高まる体験型ショッピング
体験型ショッピングとは、その名の通り、実店舗から生まれた言葉です。世界の都市部では、単にお店に入って商品を見たり、店員のアドバイスを受けたりするだけではなく、豊かで夢中にさせてしまうような体験を提供するべきだという考え方が広まっています。アート作品、ライブイベント、カフェ、ラウンジ、ビデオディスプレイ、バーチャルリアリティ技術などに出会える店舗空間を指す言葉です。
ざっくりまとめ
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若年層の消費者を獲得するためによく用いられる「体験型ショッピング」の例として挙げられるのはロンドンのHouse of Vans(ヴァンズの様々なカルチャーを体感できる場)です。ロンドンのウォータールー駅近くの鉄道アーチの下に位置する2,800m2のスペースには、ギャラリー、VansLabアーティストインキュベータースペース、映画館、ライブイベント、カフェ、バー、そしてスケートパークなどが入っており、お客様と直接触れ合うことで、Vansは自社の価値観を伝えています。
- 若年層以外の消費者を獲得するためにも「体験型ショッピング」が広がっています。その一例として、イギリスのデパート、ジョン・ルイスはサウサンプトン市内中心部にリニューアルしたコンセプトストアで、「体験の遊び場」の実験を始めました。ここでは、料理教室、バリスタワークショップ、パーソナルスタイリングパッケージなどのサービスを提供し、屋上には果樹園を作っています。最も印象的なのは、2020年初頭にイギリスでコロナウイルスのパンデミックが発生した際に、同社はこの種の手法をオンラインで展開したという点で注目されています。
- ジョン・ルイスの取り組みは、オンライン小売業で実店舗と同様に改革の機運が高まっていることを証明していると捉えることもできます。
- ショッパブルコンテンツ、ライブストリーミングイベント、アプリやモバイルファーストのサービス、ソーシャルメディア、動画、そして家庭用品部門で使用されているような消費者が色やスタイルを試すことができるオンラインツールなどを利用し、ブランドや小売業者は目立つための取り組みを行っており、「体験型ショッピング」の手法は発展しつづけています。
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体験型リテールは、単にフロントエンドのマーケティング上の演出だけではありません。お客様が商品にたどり着いたときに、その商品を買うかどうかを決める上で必要な情報を得られるようにしておくことでもあるのです 。
5. ミズノと工機ホールディングスに聞く ~PIMを活用した成長戦略
デジタル化の加速に伴い商品情報管理(PIM)ソリューションを検討する企業が増えており、2021に最も読まれたミズノと工機ホールディングスとの対談記事は、2022年にも多くの方に読まれています。
日本を代表するスポーツ用品メーカーであるミズノのグローバルデジタルマーケティング戦略を牽引する芹澤氏、工機ホールディングスの製品開発本部プロダクトマネジメント室 Launch Design Dept. 部長 加藤氏との鼎談。
グローバルビジネスの商品情報基盤としてContentservプラットフォームを活用するミズノ様、そして、HiKOKIにリブランディングされたタイミングで会社の成長戦略となるDX戦略の一環にContentservを導入した工機ホールディングスでは、商品情報管理(PIM)をどのように位置付けているのか。P I Mの重要性とプロジェクト成功の秘訣とは?
ざっくりまとめ
- 工機ホールディングスのDX戦略においてPIMは「ハイジーン」、公衆衛生と一緒であって当たり前のものであるという位置付け。ミズノでは、グローバル商品マスターとして機能しています。
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Contentservは、PIMとDAM(デジタルアセット管理)ソリューションが統合されていることが導入の上で大事なポイントでした。PIMとDAMがバラバラだと、それをまた紐づけるものが別途必要になってしまうためであります。
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PIMプロジェクトは様々な部門、ステークホルダーが関わるので、体制づくりには販売側である各リージョンと、製品を企画開発して作っていくヘッドクォーター側をつなぐハブとしての事務局をいかに機能させるか、言い換えれば各部門にオーナーを置くことがポイントとなります。
- PIMロールアウトにおいて、プロダクト、リージョン、チャネル、ブランドがあるので、どこを優先するかを決めることがスムーズに進む秘訣。
また、多くの方にダウンロードいただいた顧客とのデジタルコミュニケーション、デジタルマーケティングの基盤となる商品情報の効率的な管理ができているか、チェックするための16問の簡単ガイド「Checklist: 商品情報を効果的に管理できていますか?〜自社のプロセスを見極める16問のチェックリスト」をぜひご覧ください。