製造業では、新規顧客や見込み顧客の獲得、さらにグローバルでの成長を牽引するために、デジタルマーケティングが欠かせない手段となっています。具体的には、WebサイトのリニューアルやMA(マーケティングオートメーション)の活用が重要です。
今回は、株式会社ミツトヨのグローバルマーケティング本部 販売促進部 マーケティング課 課長の中島幸太氏、Contentservのパートナーである株式会社エクサ Smartシステム開発本部 Smartエンゲージメント開発部 ソリューション推進室の真喜屋 篤氏をお招きし、「ミツトヨが手がけるデジタルマーケティング改革〜PIM/DAM を活用したグローバルビジネス」と題して、商品情報管理PIMプロジェクトの経緯から将来の展望にいたるまで、ミツトヨが手掛ける商品情報を起点としたグローバルマーケティングについて、ビジネスならびに技術的な観点から語っていただきました。
本記事では、対談で語られたお話の中から、グローバルマーケティングを成功させるためのヒントについてご紹介します。
<目次>
1. 商品情報管理の効率化と販売チャネルへのスピーディな展開
2. マーケティング部門をオーナーとした推進体制
3. 伴走しながら共創していくパートナーの支援
※本記事は2022年3月に開催されたデジタル・コマース2022におけるミツトヨ・エクサ・Contentserv3社のパネルディスカッションの内容をもとに編集しました。
◆ 本セッションの動画は、下記リンクからご視聴いただけます。
「ミツトヨが手がけるデジタルマーケティング改革〜PIM/DAM を活用したグローバルビジネス」
◆エクサ・Contentservによるミツトヨ様の事例の詳細は、下記リンクからご確認いただけます。
「ミツトヨ、PIMとCMSの連携で新商品の市場へのオファースピードを飛躍的に向上」
グローバルで営業・マーケティングDXを進めるにあたり、課題として多く上がってくるのが、商品情報をタイムリーに各販売チャネルに展開することの困難さです。ミツトヨでも、この課題に直面していました。
同社は、これまで5,500点ある商品を主に紙のカタログを使ってマーケティングや営業を行っていました。商品開発は日本で行っているため、新商品が販売される度に、カタログを追加・刷新して海外に展開していました。しかし、これでは海外への情報展開にタイムロスが生じてしまうため、海外支社から商品情報が即座に、正確に届くよう、マーケティングのデジタル化を求める声が強くあがっていました。
Contentservのお客様において、データガバナンスや業務効率化、コスト削減との観点もあれば、顧客満足度・ブランディング、eコマースを始めるということが起点となるなど、様々な目的と動機によってPIMを導入しています。ミツトヨでは、グローバルマーケティングを推進するためのデジタルコミュニケーションの基盤として、商品情報管理 PIMシステムを構築しました。
販売促進部 マーケティング課 課長 中島幸太氏
本プロジェクトの背景について、ミツトヨの中島氏は、「今は売上の7割以上が海外市場が占めていますが、海外では日本と同様のブランド力は通用しません。また、ヨーロッパや北米を中心とした海外拠点では、カタログではなくeコマースなどデジタルを活用した営業・マーケティングが活発に行われておりました。ヨーロッパや欧米では既にPIMの導入も行われており、商品情報を体系的にまとめる必要がありました。」と振り返ります。
マーケティング部門をオーナーとした推進体制
ミツトヨでは、なぜPIMが必要なのかを検証し社内で認識を統一させるために、PIMを導入した場合の効果を定量的に算出する必要がありました。
経営陣の理解を得ることは、プロジェクトを推進する上で非常に重要です。中島氏は、PIMの導入について、「「PIMを導入しただけで即座に売上につながる」 というものではなく、売上を上げるための活動を行うために、情報を体系立てて整理する倉庫のようなものであって、これがあるからこそ、その後の営業やマーケティング活動に活きてくるということを説明しました。また、ヨーロッパ支社で既にPIMを導入していたことから、商品データが即座に反映されないことやカタログをメンテナンスする場合に生じる機会損失をコストに反映させて、削減効果を算出し、こういった細かな数値もバックデータとして提示しました」と語っています。
Contentservの渡辺は、「おっしゃる通り、PIM自体が売上を上げていくそのものではないです。eコマースや Web CMS、Web カタログの最適化などの投資は、比較的に理解を得やすいかもしれません。 一方で、そこの投資がうまくいっていない、結果として期待した ROI が出ないとよく聞きます。その理由は、そこに流し込むコンテンツがしっかり揃っていないためでもあります。裏側のコンテンツをマネジメントする基盤とフロントでお客様との接点を最適化する基盤は、デジタルビジネスにおける両輪と言えます。私がDX の三種の神器として呼んでいるのは、Web CMSとMA(マーケティング オートメーション)、そしてPIM&DAMです。 この3つをまず揃えることによって、デジタルビジネスを革新することができます。」と、PIMのROI算出の複雑さとPIM/DAMはデジタルコミュニケーションの欠かせない基盤となることについて言及しました。
「特に、プロジェクトの目的をマーケティングとしてスコープを絞り、期待されるROIを明確に算出し提出したことで、経営陣からも理解が得られ、プロジェクトをマネジメントする上で必要なすべての権限を与えてもらえたため、リーダーシップが取りやすくなり成功につながったと考えています。」と中島氏が振り返っています。
中島氏は、Contentservを選んだ理由について、次のように話します。「PIM導入にあたっては、まずマーケティングチームからスモールスタートし、その後全社に広げていく方針だったため、最初から他部門を多く巻き込こむ必要のあるシステムだとプロジェクトのスコープに合いませんでした。こうした様々な事情を踏まえ、複数のベンダーを検討しましたが、次の点を総合的に評価し、Contentservを採用しました。
また、導入後のフォローもとても重要です。日本の導入パートナーであるエクサの実力や実績が導入の決め手の一つとなりました。」
Smartエンゲージメント開発部 ソリューション推進室 真喜屋 篤氏
エクサの真喜屋氏は、「弊社は他のPIM製品も取扱っていますが、Contentservの特徴としてはPIMとしての業務を実行するための機能、すなわち、周辺システムへ繋がるコネクターの数やデータインポート、エクスポート、ワークフロー 、権限関係といった機能が最初から十分に備わっている点です。他のPIM製品の場合、カスタマイズをして作り込んでいくことが多いですが、Contentservについては、カスタマイズしなくても、ミツトヨ様のPIM業務を設計していくための機能が揃っていましたので、Contentservを提案しました」と、Contentserv PIMの優位性について説明を加えました。